読書メモ

「仕事が充実するべきだ」という主張は、仕事においてこそ人は充実していなければならないという強迫観念を生む。

 

新しい階級の子どもたちは小さい頃から、満足の得られるような職業------労働ではなくてたのしみを含んでいるような職業------をみつけることの重要性を念入りに教えこまれる。新しい階級の悲しみと失望の主な源泉の一つは、成功しえない息子------退屈でやりがいのない職業に落ち込んだ息子------である。こうした不幸に会った個人------ガレージの職工になった医者の息子------は、社会からぞっとするほどのあわれみの目でみられる。

 

医者の息子が「ガレージの職工」になったとして、そのどこにどういう問題があるというのだろうか?なぜ彼はあわれみの目で見られなければならないのか?そんな視線の持ち主の差別意識こそ、私たちはあわれみの目をもって眺めてやるべきだ。

 

暇と退屈の倫理学/國分功一郎/太田出版